#平行線の世界 ふたりは消えてしまった


 蒼空は、美月とよく喧嘩をするようになり、そのたびに家を出ていき、ひとり暮らしを始めた僕の家に泊まって行くこともよくあった。

そのたびに、美月は何回も蒼空に電話をかけてきて、電話に出ないと

「好きなご飯作ったから帰ってきて」
「さみしい」
「ごめんね」
「もう疑わないから」
「一緒にいて」

と、まとわり付く内容のメールを沢山入れてきた。
 正直僕にとって美月はうっとうしい存在だった。けれども僕はその気持ちを隠して美月と接した。

 どんなに喧嘩をしていても、蒼空は美月のことを愛していて、美月も蒼空を愛していることは分かっていた。

 愛し合っているはずなのにすれ違いすぎて、ふたりの関係にヒビがはいり、もう修正が出来なくなって、やがて壊れた。

 そして美月は海で、消えた。