☆美月・描かれていた景色


 海に着いた。そして今日は満月。

 私の頭の中にずっと描かれていた景色が、そこにはあった。

来たことがないはずなのに空気、音、景色、匂い……。感じられる全てが、懐かしいと感じた。

 砂浜を歩くと姿は見えなかったけれど、大和がいる気配を感じた。

「大和!」

 ふたり同時に叫んだ。
 蒼空くんが指を指した。

「そこ……」

 私は頷くと、そこまで歩いて行った。
 蒼空くんもついてきて、ふたりで砂浜に座った。

 しばらく、波が来る度にキラキラと揺れる水面の光を眺めていた。

 3人で最後に部屋で過ごした日のような、居心地の良い感覚。

「あっ、雪……」

 ふわりと降りてくる雪を両手で優しくすくった。手のひらに乗ってはすぐに溶けて……。溶けた雪は、大和が泣いていた時に手で拭ってあげた時の温かい涙の感触がした。

…………そして、大和がいるような感覚は消えた。

 伝えたいこと沢山ありすぎたけれど、自然と言葉が出てきた。

「大和、長い間ありがとう」。