★蒼空・探しに



「この絵……」

 満月の光が反射してキラキラと輝いている海

 見た瞬間、あることを思い出した。

 それは大和が免許をとり、車を買ったすぐのこと。行きたい場所があるから付き合って欲しいとお願いされ、一緒に来た場所。

「ここは、とても悲しい場所なんだけど、もう一度やり直せることが出来た場所でもあるんだ。その時は綺麗だとは全く感じなかったけれど、今思えば満月の夜に来た時は綺麗だったな……」

 もしかして……。

 美月に絵のことを聞いてみた。1回も行ったことがなくて、でも小さい頃からずっと頭の中で描かれているらしい。

 大和が今まで話してくれたことを思い出してみる。

「ここだ!」

 その場所以外は思いつかなかった。


 美月を連れ出し、急いでこの景色の場所へ向かった。

そして

「僕がいなくなった時、美月に全てを話して欲しい」

と、最後に会った時に大和にお願いされていたから、向かう途中に車の中で、俺が大和から聞いたことを美月に全て話した。

「そっか……」

 美月は、ただひと言だけ呟いて、車の進行方向をずっと見ていた。何を考えているのか気になった。