☆美月・辛い夢


 眠ってしまった大和。そのままソファーの上で寝かせ、毛布を掛けた。そっと頭を撫でて、私もそろそろ眠ろうと自分のベッドに入った。

 その日みた夢はいつもと違った。

 いつものように蒼空くんが出てくるのだけど、今回は大人の姿で登場した。

 私は夕暮れ時、ひとりで知らない部屋にいる。蒼空くんの浮気を疑ってぶつぶつひとりごとを言っている。

 少したつと蒼空くんが帰ってきて、同じ空間にいるのに、一言も会話をしない。目も合わせない。

 蒼空くんは家から出ていく。出ていった瞬間涙が溢れてくる。そして呟く。

「私には何も無い……蒼空くんしかいない。ひとりにしないで」

 暗くなるまでずっと泣いている。
 暗闇の中ひとりで泣いている。

「大丈夫?」

 大和は寝ながら泣いている私を起こし、優しく涙を拭いてくれた。


 朝になっていた。

 私は今回の夢と、今までみていた夢の話を大和にした。そして蒼空くんとSNSでメッセージのやりとりをした事も言った。

 大和はしばらく無言になり何かを考えているようだった。