と、強引に手がほどかれて腕が持っていかれた。

「王女に手を触れるな」

アズールは私の腕を掴んで引き寄せるとジャンクを睨み付ける。

「アズール様」

「王女は記憶喪失なんだ。以前のように近づかないでいただきたい」

これはもしや、アズールに護られているんじゃ?
見上げれば鋭い目付きで一瞬の隙すら与えないといった雰囲気のアズール。大きくて力強い手から伝わる体温を感じ取ると、急に私の胸はドキドキと高鳴った。

ああ、神様!
ボーナスステージをありがとう!

二人の物々しさとは対照的に、私は一人胸をキュンキュンさせていた。

「シャルロット、僕は毎日ここで仕事をしているんだ。いつでもおいでよ」

「うん、ありがとう」

軽く答えると、アズールは私に睨みを利かせてくる。

「王女、軽率な行動は控えていただきたい」

「そ、そうね。気をつけるわ」

私の頷きと共に、アズールは掴んでいた手を乱暴に離した。