「ナコ、七歳くらいのときもこっちの世界に来たことはないか?」

「ないよ?あ、でもお城みたいなところで銀色の髪の男の子と遊ぶ夢を何度か見たことはあったなあ」

私は懐かしむように思い出してみる。おぼろ気な記憶はそう、まるでこの世界のようだった。お城があって石畳の道があって、城内には裏庭もあって……。

私はアズールを見る。
月明かりに照らされたアズールの髪の色は綺麗な銀色だ。

「……もしかして夢じゃなかったってこと?銀色の髪の男の子ってアズールだったり?」

銀色の髪は覚えているけど顔は思い出せない。だけどアズールにあの時の男の子が重なって見えた。

「子供の頃、一人ぼっちだった俺に声をかけてくれたのはナコ、お前だったんだな。」

「嘘?うわぁ、すごい!すごいね、アズール!運命感じる!」

本当に、そんなことがあるんだ?
まさか子供の頃の夢は夢じゃなかっただなんて。その時にもうアズールに出会っていたなんて、これを運命と言わずして何と言おうか。