どこに行くにしても侍女か護衛を伴わなければならないと聞いて生きづらさマックス。
確かに王女様だから何かあっては困るものね。それはわかるけど何ていうか常に監視されている感があるというか煩わしいというか。

だけどこの護衛というのがどうやらアズールのことらしく、それを聞いた瞬間に私のテンションは爆上がりした。

このアズールこそ、私の推しである騎士団の若き団長、アズール・ランベールその人である!

ノックをして入ってきたアズールは青の隊服をピシッと着こなし、腰には装飾の施された立派な剣を携えている。

整った目鼻立ちに、瞳は濃い緑色。髪は銀色で艶やかだ。それだけでもかっこいいのに、そこに立つ凛としたシルエットすらもかっこいいって罪だと思う。

「どうかしたか?」

「いや、アズールがかっこよすぎて見とれていただけ……はっ!」

私は慌てて手で口元を覆う。
思わず心の声が漏れてしまった。

「それは光栄なことだ」

焦る私に対してアズールは表情ひとつ変えず、淡々とクールに言い放った。低くて冷たい声。だけどそれがアズールっぽくてぞくりとする。

くっ!
かっこいい!
鼻血出るわ、マジで。

私の心の盛り上がりなど誰も知る由もなく、侍女は記憶喪失になってしまったシャルロットを気の毒そうな顔をして見つめ、アズールも迷惑そうな目で私を見ていた。