アズールと共に城に戻るため歩き始めたのだが、アズールはずっと無言だ。ただ私の歩幅に合わせて歩いてくれてはいる。

「ねえ、何か怒ってるの?」

居たたまれなくなって恐る恐る聞くと、深いため息が聞こえた。そして私を見る。

「いや、ほっとしている。俺の心配が杞憂に終わってよかったとな」

「そうだね、疑いが晴れてスッキリしたよね」

王様はジャンクのお母様のために。
ジャンクのお母様は王様のために。
そしてジャンクはお母様のために。

各々がそれぞれの想いで相手を思い遣りながら行動していた。やり方は褒められるものではないかもしれないけれど、でもそれってすごいと思う。

「ジャンクは優秀な者だが、この国では庶民から書士になるのはまだまだ難しい。だがそれを推薦したのは王だ。王はとっくにジャンクを息子と受け入れていたのだろうな」

「王様は何もかもご存じだったのね」

結婚したいと願いながら叶わなかった二人。様々な想いと葛藤しながらも、それでも少しずつ愛を育んできたんだろうなと思うとちょっぴり切なく甘酸っぱい。

ていうか、オタク女子として結構萌える設定なんですが!