「私たちは別れるとき、もう会わないことを約束したわ。だから私は一人でジャンクを育ててきた。ジャンクには寂しい思いをさせてしまったかもしれないけれどね」
そう言ってジャンクを見つめるお母様の目は慈しみに溢れていた。
「でも王様と会っていましたよね?」
私が確認するように言うと、アズールもこくりと頷く。城内の裏庭で親密にしていたのは、やはり紛れもなく今目の前にいるジャンクのお母様なのだ。
「王妃様は病弱でね、若くして亡くなられてしまったの。その数年後かしら、突然王は私に手紙をよこしたわ。結婚してくれないかって。何度も何度もよ。私はその都度丁重にお断りした。今さらそんな都合の良い話がありますか。それにもしその話を受けたとしても私は魔女。何を言われるかわからないでしょう?」
少し前まで魔女は虐げられる存在だった。今のように広く受け入れられるのは難しい時代だったのだろう。特に王妃ともなれば尚更だ。
「そうしたらね、王は図書館を庶民に開放したり、いろいろな改革を起こし初めたの。先代の王をも言いくるめ、私を受け入れる準備をしてくださった。それは私のためでもあり国のためでもあった。そんな王を私はもう一度愛したいと思ったの」
私たちはお母様の話を黙って聞く。
時折お鍋がコトコト煮える音が、心地よく耳に届いた。
そう言ってジャンクを見つめるお母様の目は慈しみに溢れていた。
「でも王様と会っていましたよね?」
私が確認するように言うと、アズールもこくりと頷く。城内の裏庭で親密にしていたのは、やはり紛れもなく今目の前にいるジャンクのお母様なのだ。
「王妃様は病弱でね、若くして亡くなられてしまったの。その数年後かしら、突然王は私に手紙をよこしたわ。結婚してくれないかって。何度も何度もよ。私はその都度丁重にお断りした。今さらそんな都合の良い話がありますか。それにもしその話を受けたとしても私は魔女。何を言われるかわからないでしょう?」
少し前まで魔女は虐げられる存在だった。今のように広く受け入れられるのは難しい時代だったのだろう。特に王妃ともなれば尚更だ。
「そうしたらね、王は図書館を庶民に開放したり、いろいろな改革を起こし初めたの。先代の王をも言いくるめ、私を受け入れる準備をしてくださった。それは私のためでもあり国のためでもあった。そんな王を私はもう一度愛したいと思ったの」
私たちはお母様の話を黙って聞く。
時折お鍋がコトコト煮える音が、心地よく耳に届いた。