「そうね、なぜ私をつけていたのか聞かせてもらおうかしら?」

「つける?」

ジャンクは不思議そうな顔をして私を見た。
素直でまっすぐなジャンクは何も疑っていない。私のことも、お母様のことも。
少し心が痛むけれど、下手な言い訳すら思いつかないこの状況に私は覚悟を決めた。

「単刀直入に聞きます。お母様は王様とどういう関係なんですか?親しげにしているところを見ました」

私の言葉に、ジャンクは私とお母様を交互に見る。ジャンクにとっては寝耳に水だったようだ。
一時の沈黙のあと、お母様は大きくため息をついてから口を開く。

「そう、見られてしまったのね。知られたからにはただでは帰せないわ」

お母様はキッチンで包丁を掲げると、そのまま大きく振り下ろす。刃先の残像がキラリと怪しげな光りを残した。

「きゃっ!」

目の前に血飛沫が飛び、一瞬のことに私は反射的に目を閉じた。