深夜の食堂の煙突からもくもくと煙が立ち、その室内には美味しそうな香りが立ち込めた。

目の前には大きなお皿にふんわりとしたオムレツ。それにホワイトソースがたっぷりとかかっている。夕食は食べたはずなのに、美味しそうな料理を前にお腹がぐうっと鳴った。

「いただきます」

スプーンですくってパクリと口に含む。とろけるような食感に、ほっぺが落ちるとはこういうことかと私は頬を押さえた。

「ん～美味しい！お母様、天才的！」

「喜んでくれてよかったわ」

「それにしても驚いた。母さんがシャルロットを連れて来るなんて」

カウンターに座る私の横には、未だに驚きを隠せず興奮しているジャンクが座っている。
そしてキッチンでエプロンをした女性はジャンクのお母様だ。

「私が盗賊に絡まれていたところを、通りがかったお母様が助けてくださったの」

「そうなんだ。無事でよかったよ。でもシャルロットはなぜこんな深夜に城を出てきたの？」

「えっと……」

ジャンクの質問に私は口ごもる。
するとジャンクのお母様と目が合い、ドキッと心臓が危険な音を立てた。