その後すっかりシャルロットの記憶をなくした彼女は、初めこそ心配そうな顔をしていたがすぐに明るく積極的な性格に変化した。

以前のようなおしとやかで可憐で弱い王女の姿はどこにもなかった。

だがなぜか以前と同じように図書館が大好きでよく通う。そこではジャンクが働いている。記憶を失くしても二人には惹かれ合うものがあるのだろうか?まったく性格が違うように見えるシャルロットだが、やはり根底は変わらないということか。

図書館へ行けばジャンクも相変わらずシャルロットに近づいた。俺の監視があるにも関わらず、シャルロットのことが好きだと想いをぶつけるのだ。

軽率な行動は控えるようにと図書館へ行くのを咎めたため言い合いになってしまい、シャルロットとの関係は険悪な状態になった。そして彼女は俺を避けるようになった。

俺が彼女に冷たくあたったのだ、そうなることも無理はない。だが俺の気持ちはずいぶんむしゃくしゃしていた。

しばらく会わなくなったある日、騎士隊の訓練中にシャルロットを見つけた。声をかけるとひどく驚いた顔をしている。

「えーっと、ちょっと見学していただけよ」

焦っているのがバレバレだ。
それなのに、久しぶりにシャルロットと話すことができたことに少し心が明るくなった。