子供の頃一緒に遊んだシャルロットにもう一度会いたかった。あの天真爛漫なシャルロットの屈託のない心からの笑顔が恋しかった。

シャルロットの婚約者にと白羽の矢が立ったとき、少しばかり心が動いた。俺はまだ昔のシャルロットを夢見ていたからだ。

水面下で勝手に話が進んでいき、滞りなくシャルロットの婚約者として周知されたある日、俺はシャルロットに呼ばれた。

「あなたに対して愛はありません」

そうきっぱり断言され、やはり昔のシャルロットはいないのだと悟った。

「私もです」

同調したのに、俺の返答にシャルロットはひどくショックを受けた顔をした。顔は青白くなり、肩がわなわなと震えている。

「じゃあなぜ断ってくれなかったの?私はジャンクと結婚したいのに」

消え入りそうな声で呟くと、シャルロットから一筋の涙がこぼれた。

そんなことを言われても……というのが本音だ。

俺が返答に困っていると、シャルロットは突然テラスへ出てそのまま下へ身を投げた。止める間もなかった。

すぐに駆けつけたが、もうすでにシャルロットの息はなかった。抱き上げた俺の手、そして地面一体には、シャルロットの血糊がたっぷりと広がっている。

「シャルロット!しっかりしろ!」

その時、キラキラとシャルロットが一瞬輝いたように見えた。すると手に付いた血も地面に流れた血も、徐々に消えていく。

その不思議な光景に、俺はシャルロットを抱いたまま動くことができなかった。