月明かりとほんの少しの照明に照らされた中庭を通りかかったとき、急に手を強く引かれ、ぼすんとアズールの胸の中におさまっていた。
「アズ……」
驚いて声を上げかけたがすぐに口を押さえられる。
『しっ!誰かいる』
アズールの視線の先を辿る。
確かに誰かがいる。
それも隠れるように。
『王様?』
王とおぼしき人物と、隣にはもう一人誰か、女性がいるように見える。
『っ!』
ふいに二人が抱き合い、その包容はまるで恋人のように優しく熱い。
私たちはしばらく物陰でじっとしているしかなかった。
視線の先にはどぎまぎするような光景。
そして私はアズールに包まれたまま。
どうしよう、ドキドキが止まらない。
この心臓の音がアズールに聞こえてしまうのではないかと思うと余計に体が強張る。
やがて二人は別れ、お互いにこちらとは逆の方向へ歩いていった。それを確認するとアズールと顔を見合わせようやくほうっと胸を撫で下ろす。アズールは何事もなかったかのように、抱きしめる私から手を離した。
「今の王様だったよね。女の人は誰だったんだろう?」
「俺もわからない」
「そういえばシャルロットにお母様はいないの?私、お会いしたことがなくて」
「王妃はずいぶん前に亡くなられている」
「そうなの?」
違和感を覚えた。
ウィズラブではシャルロットの母は存在していたはずだ。拐われてしまったシャルロットに、私が変わってやりたいと涙を流していたのだ。その人物が当の昔に亡くなっている?
もしかして物語が変わってきてるのだろうか?
「アズ……」
驚いて声を上げかけたがすぐに口を押さえられる。
『しっ!誰かいる』
アズールの視線の先を辿る。
確かに誰かがいる。
それも隠れるように。
『王様?』
王とおぼしき人物と、隣にはもう一人誰か、女性がいるように見える。
『っ!』
ふいに二人が抱き合い、その包容はまるで恋人のように優しく熱い。
私たちはしばらく物陰でじっとしているしかなかった。
視線の先にはどぎまぎするような光景。
そして私はアズールに包まれたまま。
どうしよう、ドキドキが止まらない。
この心臓の音がアズールに聞こえてしまうのではないかと思うと余計に体が強張る。
やがて二人は別れ、お互いにこちらとは逆の方向へ歩いていった。それを確認するとアズールと顔を見合わせようやくほうっと胸を撫で下ろす。アズールは何事もなかったかのように、抱きしめる私から手を離した。
「今の王様だったよね。女の人は誰だったんだろう?」
「俺もわからない」
「そういえばシャルロットにお母様はいないの?私、お会いしたことがなくて」
「王妃はずいぶん前に亡くなられている」
「そうなの?」
違和感を覚えた。
ウィズラブではシャルロットの母は存在していたはずだ。拐われてしまったシャルロットに、私が変わってやりたいと涙を流していたのだ。その人物が当の昔に亡くなっている?
もしかして物語が変わってきてるのだろうか?