翌日、情報収集すべくさっそく図書館へ向かった。

「ねえ、ジャンクはどうして書士になったの?」

「国のために働きたかったからだよ」

「そうなの。ご両親は何をしている方?」

「シャルロット、今日はやけに積極的だね?」

ジャンクは不思議そうに私を見つめる。
私はギクリとしながらも適当な言い訳を口にした。

「そう?記憶がないから、ジャンクのこともっとよく知りたくて。ダメかな?」

しおらしく首を傾げると、ジャンクは私の手を取って笑顔になった。

「全然。嬉しいよ!」

あ、ごめん、ジャンク。
勘違いしないでね。

気をよくしたのか、ジャンクは自らいろいろと話をしてくれた。

「母は食堂を経営していて、父は幼い頃に亡くなったから覚えていないんだ。僕は書士として立派になって母を楽させたい。それが僕の夢だよ」

「ジャンクって偉いのね」

「ありがとう。今度食堂へ招待するよ。母のオムレツは最高に美味しいんだ」

「わあ、楽しみ!」

「シャルロット、君といると何だか落ち着く。波長が合うのかな?」

「お互い本好きで同じ金髪だし、似た者同士なのかもね?」

「はは、確かにね」

ジャンクの話し方はいつも穏やかで柔らかい。包み込まれるような会話からはまったく悪意は感じられなかった。

(うーん、難しいなぁ)

一人考え込む私に、突然ジャンクが言う。

「シャルロット、好きだよ」

「……ありがとう」

私が軽く微笑むと、ジャンクは満足そうに笑った。