「そうだ。私が別の世界からきたことを証明できることを思い出したわ。アズールのこと、当ててあげる。本で読んだの」

私はビシッとアズールを指差した。
菜子が穴が空くほど読み込んだウィズラブの世界。その中でもアズールに関する情報は完璧に記憶している。

「あなたのお父様は元騎士隊長。先の大戦で怪我をしたところを助けてくれたのがアズールのお母様。二人は恋に落ちたけど、お母様は魔女だったので結婚は大反対された。だけど今の王が許してくれて、城内に住むことも許可した。その子供のアズールは魔女との混血のため少しだけ魔法が見える。そのせいで子供の頃いじめられたこともあるけれど、それも王によって助けられた。魔女の地位を上げたのは王。ランベール一家は王に恩がある。恩恵の深いアズールは、王と国を護ることを決意した。どう?合ってるでしょ?」

アズールは目を細めると何かを考えるように目線をそらす。そしてゆっくりと口を開いた。

「驚いたな」

「信用してもらえた?」

「そうだな。だが一つだけ違う。子供の頃助けてくれたのは王ではなくシャルロットだ。シャルロットが友達になってくれた。だから俺はシャルロットにも恩がある」

なんだ……。
シャルロットに興味なさそうなふりしつつも、そういうことがあったから婚約者の話も引き受けたんじゃないだろうか。

そう推測すると、ちょっぴり胸が痛んだ。