「それにナコの持っていた髪飾りが魔道具だっただろう?魔女は道具に魔法を込めて使う。それを魔道具という。魔法力のあるものは魔法のオーラが見えるそうだ」

「この世界に魔女がいるのは普通なのよね?」

「一昔前まで魔女は忌み嫌われるものだったんだ。大昔に魔法を悪いことに使った魔女がいて、それ以来虐げられる存在になり隠れるように住んでいたと聞いている」

「それを王様が受け入れたんだ?」

「どんな種族も一定数悪いやつはいる。そのせいで何の罪もない者達が虐げられるのはよくないというお考えだ」

アズールの話は、私がウィズラブから得ている魔女や魔法に関する知識とだいたい合っていた。

ただそれは一昔前のこと。
今は昔と違って魔女は受け入れられていて、魔女と普通の人間との混血も生まれ、この世界の魔法力はどんどん弱まっているらしい。

「ジャンクはナコのことを知っているのか?」

「菜子のことを話したのはアズールが初めてだよ」

「そうか、じゃあ二人だけの秘密だ」

秘密!
なんて素敵な響き!
ときめきすぎて体が震えた。

「私はジャンクのことを探ればいいのね?」

「ああ、だが気をつけろ。ジャンクに魔力はないが魔道具を入手できるくらいだ。魔女と繋がっている可能性がある。最悪殺されかねない」

低い声に、ごくっと唾を飲んだ。

「さっきアズールに殺されかけたけど」

私の呟きにアズールは目を見開いて、そしてくしゃっと笑った。

「そうだった、怖い思いをさせてすまなかった」

詫びるアズールだったが、私はそんなことよりもアズールの笑顔に釘付けだった。
まさかそんな風に笑うなんて思ってもみなかったから、ときめきが激しすぎて魂抜かれたくらいに頭が真っ白だ。

笑顔の破壊力、ヤバイ。
私の語彙力もヤバイ。