「ねえ、記憶をなくす前のシャルロットってどんな人だったの?なんでアズールのことを嫌っていたの?」

「そうだな。王女というには頼りなく、おしとやかで可憐だったな」

「ぐっ、なんか刺さる」

やはり菜子とは全然違う可憐な王女様だったんだ。しかもそれをアズールの口から聞かされると、傷つくというか落ち込むというか。

「シャルロットはジャンクとの仲を周囲に反対され、対策として俺がシャルロットの婚約者にと白羽の矢が立ったんだ」

「対策?」

「シャルロットを婚約させれば二人は諦めて別れるだろうとな。俺は結婚に興味がなかったから、シャルロットがジャンクを好きならそれでいい。婚約者になったからといって俺のことを好きにならなくてもいいと思っていた。シャルロットも俺を盾にして好きにできるだろう?そう思ってシャルロットにもそう進言したのだが、シャルロットは気に入らなかったようだな」

至って真面目そうな顔をして言うので、私は思わず苦笑いだ。

「そりゃそうでしょ?例え好きじゃなかったとしても、仮にも婚約者にそんなこと言われたらそれはちょっと引くよね」

「そうなのか?」

「そうでしょう?」

シャルロットもお気の毒様だよ。
婚約者に好きにしていいって言われてもね。いくら不本意な婚約だったとしても、好意くらいは持ってもらいたいものだ。
アズールったら、乙女心わかってないね。