それから数週間、ユリアはオンテークの森で暮らした。人の手の入っていない鬱蒼とした森には、巨木が茂り、リスやタヌキがちょろちょろと動き回っている。オオカミやクマなどはジェイドの匂いに警戒して近寄ってこないので小動物にとっては楽園だった。
そんな森の中でユリアは散歩をしたり、リスに餌付けをしたり、ジェイドから飛行魔法を教わったりしながらゆっくりと心の傷を癒していく。
しばらくゆったりとした時間を過ごすユリアだったが、元気を取り戻してくるとだんだん退屈になってきた。
「ねぇ、街に行きたいわ」
ユリアはジェイドにねだった。
「街? 危ないぞ」
「大丈夫、変装してたらバレないわよ」
「うーん、では、我から離れないように」
「わーい! ありがと!」
ユリアはジェイドにハグし、ジェイドは少し苦笑いしながら優しく髪をなでた。
◇
傾きかけた日差しの中をドラゴンの背に乗ってスウワの街へと飛ぶ。ユリアは金髪碧眼に変身して、パッと見大聖女とは気づかれないようにしている。
山をいくつか越え、遠くに大きな湖が見えてくる。スウワの街はその湖のほとりにあるのだ。
ジェイドは街の近くで速度を落とし、
「そろそろ人に戻るぞ」
と、重低音の声を響かせる。
そして、ユリアを空中に浮かび上がらせると、ボン! と煙を上げて人化してユリアをお姫様抱っこする。
「えっ!?」
驚くユリア。
「舌を噛まないようにしてて」
ジェイドはそう言うと一気に速度を上げ、隠ぺい魔法を展開して街の中心部へと降下して行く。
高い城壁に囲まれたスウワの街は、湖の水を生かし、水路が整備されている水の街である。
「うわー、綺麗……」
金髪をなびかせながらユリアは、小舟が行きかう美しく整備された街を眺めた。
ジェイドは人気のない裏通りにスーッと着地して、ユリアを下ろす。
「ありがとう!」
ユリアにとっては久しぶりの街である。目をつぶってしばらく人々の生活の匂い、響いてくる生活音を感じながらうれしそうに笑った。
ジェイドはアイテムバックから金貨をひとつかみ出し、ユリアのポーチにジャラジャラと注いで言った。
「今日のご予算はこのくらいで」
「えっ!? そんな、悪いわ」
驚くユリア。
「龍はお金には困ってないんだ」
ジェイドはそう言ってニコッと笑う。
そんな森の中でユリアは散歩をしたり、リスに餌付けをしたり、ジェイドから飛行魔法を教わったりしながらゆっくりと心の傷を癒していく。
しばらくゆったりとした時間を過ごすユリアだったが、元気を取り戻してくるとだんだん退屈になってきた。
「ねぇ、街に行きたいわ」
ユリアはジェイドにねだった。
「街? 危ないぞ」
「大丈夫、変装してたらバレないわよ」
「うーん、では、我から離れないように」
「わーい! ありがと!」
ユリアはジェイドにハグし、ジェイドは少し苦笑いしながら優しく髪をなでた。
◇
傾きかけた日差しの中をドラゴンの背に乗ってスウワの街へと飛ぶ。ユリアは金髪碧眼に変身して、パッと見大聖女とは気づかれないようにしている。
山をいくつか越え、遠くに大きな湖が見えてくる。スウワの街はその湖のほとりにあるのだ。
ジェイドは街の近くで速度を落とし、
「そろそろ人に戻るぞ」
と、重低音の声を響かせる。
そして、ユリアを空中に浮かび上がらせると、ボン! と煙を上げて人化してユリアをお姫様抱っこする。
「えっ!?」
驚くユリア。
「舌を噛まないようにしてて」
ジェイドはそう言うと一気に速度を上げ、隠ぺい魔法を展開して街の中心部へと降下して行く。
高い城壁に囲まれたスウワの街は、湖の水を生かし、水路が整備されている水の街である。
「うわー、綺麗……」
金髪をなびかせながらユリアは、小舟が行きかう美しく整備された街を眺めた。
ジェイドは人気のない裏通りにスーッと着地して、ユリアを下ろす。
「ありがとう!」
ユリアにとっては久しぶりの街である。目をつぶってしばらく人々の生活の匂い、響いてくる生活音を感じながらうれしそうに笑った。
ジェイドはアイテムバックから金貨をひとつかみ出し、ユリアのポーチにジャラジャラと注いで言った。
「今日のご予算はこのくらいで」
「えっ!? そんな、悪いわ」
驚くユリア。
「龍はお金には困ってないんだ」
ジェイドはそう言ってニコッと笑う。