取り敢えずモヒートを頼み、届いたミントの葉が沢山浮いているお酒を煽る。アルコールに頼って変な緊張感を打ち消したかった。
「でも良かった、百花が来てくれて。これで青葉君との約束果たせる。」
「青葉君?」
「そう。二週間だけヘルプでここに働いている子なんだけど、百花の話したら絶対に会ってみたいから連れて来てってせがまれちゃってさ。」
「……。」
それ、完全に金蔓にされているだけなんじゃないの。昔から美形をこよなく愛している気前の良い友人が途端に心配になる。私とは違ってかなりフットワークの軽い彼女は、相変わらず仕事があるなし関係なく呑んでいるらしい。猛者である。
「大丈夫、青葉君美形だから。」
「何が大丈夫なのか分からないんだけど?そしてその青葉君とやらは何処に?」
「うーん、もうすぐ出勤時間だと思うんだけど…。」
友人が腕時計に視線を落として時間を確認した刹那だった。
「呼びました?」
最高にドストライクの声が、正面から飛んで来た。