青葉君の腕の中。小さく頷いた私に目を見開いた彼は、すぐに嬉々として目を細めて私の顎を持ち上げた。
「知ってる。百花さんが俺を好きだって、知ってる。だって……。」
“好きになって貰う為だけに努力してきたから”
一々私の心臓を撃ち抜く年下の男の子。四つも下の、男の子。誰よりも恰好良くて、誰よりも卑怯な男の子。最初に誘惑したのは私の方。だけど私の理性を崩壊させたのは彼の方。
酔いながら放った、半分の本気と半分の冗談が混ざった台詞。「青葉君が私を拾ってくれる?」それを口から出した時は激しく後悔したけれど、今は口に出して良かったと心から想う。
「ねぇ、百花さん。」
「な、何ですか青葉君。」
「俺は百花さんに会う度に、百花さんに恋に落ちてます。」
“好きです、百花さん”
外の寒さすらも忘れる程の熱い彼の体温に包まれながら、再び唇を塞いだ彼からの接吻に、私は自らの恋心を自覚した。

