「よっ」


「え? あっ……勝見君?」


「おはよ」


「お、おはよ」


「………………」


「あ、あの、昨日は、ごめんね。

 せっかく気にして声かけてくれたのに、ひどいこと言っちゃって」


「ああ、別にいいよ。

 俺も、お節介だったし。ごめん」


「ううん……」

「…………で?」

「え?」

「どうなの?」

「どうって……えっと……」

「数学、何とかなった? 」

「……あ! 忘れてた。どうしよう。何とかなってない」

「教えようか?」

「ほんと?」

「うん……

 で、さあ、数学、教えるからさ、俺の話も、聞いてくれる?」


「ん? うん」



「俺、……坂井さんのこと、好きだよ」



「……へっ?」



「俺と、付き合わない?」



「…………っ」



「え?……なに? なんで泣くの?」

「だって、一目惚れ、だから……」

「えっ? なんでわかったの? 俺が坂井さんに一目惚れしたって」

「……え? 私に、ひとめ、ぼれ?」


「そうだよ、おれ……」「……あ、あの、私も……」





    __きみに ひとめぼれ__






꣠*✻:::::✻* END * ꣠*✻:::::✻*