牧瀬 陽光私の関係は、所謂幼馴染と云う奴だった。家が近所で保育園からずっと一緒。悪く言えば腐れ縁なのかもしれないけれど、私にとっての陽光は同級生であり、友人であり、親友であり、家族だった。
学校も一緒。登下校も小学校からずっと一緒。帰宅してからもどちらかの家に行くのが常だったし、血の繋がった家族よりも陽光と過ごす時間の方がずっと多かった。
整っている陽光の容姿はいつだって周囲の注目の的だったものの、当の本人は全くの無関心。揺るがない一本の芯を持っていた彼は、誰かの意見に流されたり、周りの噂話に左右されたりする事が一度もない様な人間だった。
決して友達が少ない訳ではない。寧ろ多い方の部類だったと思う。男女関係なく人に好かれる魅力を有していて、人望も厚かった。そんな陽光が幼馴染だと云う事実が私はとても誇らしかった。
陽光の一番近くに無条件でいられる自分に優越感すら抱いていたのかもしれない。
それくらい、陽光は眩しくてキラキラと煌めいている人だった。度々意見の食い違いや誤解で喧嘩が勃発しても、いつも大人な陽光が私の好きなアイスクリームを買って来て「ごめん、仲直りしたい」と言ってくれる。
そのアイスを頬張りながら、陽光の好きなカフェラテを私が差し出して「私もごめん、仲直りしよう」と小さく呟く。意地を張っていた自分が馬鹿らしくなってお互い吹き出して大笑いをしながら喧嘩したその日の内に仲直りをする。
小さい頃から何も変わらないその関係が大切だったし、これから先もずっと続いていく物だと信じて疑いもしなかった。