友達以上恋人未満。家族以上夫婦未満。私と貴方を形容する言葉が幾つか浮かぶけれど、どれも今一つしっくりこない。どちらも素直になれなかった私達は、幼馴染の域を超えた関係性の居心地の良さに甘んじていたのだと思う。


いつだって「好き」と伝えられる。気が向けばすぐに「愛してるから恋人になろう」と彼に云える。完全に平和ボケしていた私は、そう信じて疑わなかったし永遠に陽光との時間が続く物だと決めつけていた。



『ねぇ、見て祈。』

『何これ。』

『バイクの免許。』

『え、取ったの?』

『ん。俺、四月が誕生日だから真っ先に取った。中型免許だから一年経てば後ろに祈を乗せられる。俺の初めては祈の物ね。』

『なっ…変な言い回ししないでよ。』

『何顔赤くしてるの?』

『うるさい。』

『可愛い。』



陽光の香りが充満している部屋。ベッドの枕に火照った顔を埋めた私の頭をくしゃくしゃと撫でた彼は、クスクスと笑い声を漏らしてやけに嬉しそうだった。紫陽花の咲く雨模様が続いていた十六歳の六月の出来事だった。


可愛くない反応をしてしまったけれど、内心は喜びで満ちていた。初めてバイクの後ろに乗せるのは私だと当たり前の様に放った彼に、胸が高鳴って落ち着かなかった。


早く一年後になって欲しい。目的地は何処でも良いからすぐにでも彼の運転するバイクの後ろに乗りたい。彼とのツーリングを想像しただけで、両頬はじんわりと熱を持つ。













































けれど、そんな私の想像が現実になる事は叶わなかった。