「お母さん、いくら何でも量多くない?」
「だって祈ちゃんが折角来てくれたんだもの、それに陽光にも今日は好きな物をいっぱい食べて欲しいからね。」
「だからって……。」
エプロン姿のおばさんが次から次へと美味しそうな料理を運んで来て、あっという間に食卓テーブルが埋まってしまった。食器の準備をしながら盛大な溜め息を吐いた人物は、私を一瞥して苦笑いを浮かべる。
「祈姉ちゃんごめんね、お母さんが張り切って。」
「ううん、嬉しいよ。」
「ていうか久し振りだね。」
「うん、海里も大きくなったね。」
「そ、そりゃあ大きくなるでしょ。俺もう大学一年生だよ。」
「ふふっ、そうだよね。何か私も手伝える事ない?」
「祈姉ちゃんはお客さんだから座ってて良いよ、気遣わないで。」
私の前にお皿とフォークとナイフを置いた海里の背が余りにも高くなっていて、内心驚いていた。180cmは優に超えているだろう。相変わらず顔も整っているし、性格も優しい。恐らく大学でもモテモテだろう。
正面の席に座った彼は、陽光と本当によく似ている。双子だと云われても全くの違和感がない。
「良かった。」
「ん?」
「俺、祈姉ちゃんはもう俺と話してくれないのかなって思ってたから、また家に来てくれて嬉しい。」
「今まで中々来られなくてごめんね。」
「大丈夫。祈姉ちゃんが兄貴の事大好きだったの知ってるから。それよりも精神的にしんどかったらいつでも言ってね、お母さんからすぐに逃がすから。」
「あはは、全然平気だよ、ありがとう。」