「あ、そう云えば自己紹介すらまだだったね。改めまして、安桜 祈です宜しくね。」

難波 陽向(なんば ひなた)です、こちらこそ宜しくね。」

「陽向って呼んでも良い?」

「ふふっ、是非呼んで欲しいな。」



貴方を失った日がすぐそこにまで迫っていた昼下がりだった。


大学に入って初めて、私は、貴方以外に他愛無い会話を交わす相手に恵まれた。陽向は、貴方が染めたいと云っていた髪色が良く似合う美しい人だった。




貴方とは何もかもが違う人間だと云うのに、陽向にはやっぱり貴方の影が落ちている様な気がした。