「おめでとうございます、可愛い可愛い元気な女の子よ。」
助産師さんの腕に抱かれていた小さな小さな身体を自分の腕に抱き締めた途端、涙が溢れ出して止まらなくなる。泣き声をあげて手足を動かしている我が子は、堪らなく可愛くて愛おしかった。
「…っ可愛い。…やっと、やっと会えたね。初めまして、貴方のママだよ。」
この世に誕生して間もない生命は、酷く可憐で大変に愛らしい。私の指を懸命に握った貴方の手の体温を、私は絶対に忘れないだろう。貴方が初めて聴かせてくれた可愛い泣き声を、私は一生憶えているだろう。
「ほら、パパも抱っこしてあげて。」
「だ、抱っこはこれでちゃんとできていますか?」
「ちゃんと出来てるから大丈夫よ。」
「どうしよう、可愛くて仕方がない。…祈ちゃん…ありがとう、本当にありがとう。お疲れ様。」
我が子を抱いて満身創痍の私を労ってくれる陽向の目が泣き過ぎて赤くなっている。彼の目が兎にそっくりで、自然と唇には三日月が浮かぶ。そして私は心から想った、この人と家庭を築けて世界一幸せだと。