三月二十二日。その日、東京の桜が満開になったと朝のニュースのお天気コーナーが知らせてくれた。そして桜色に染まった街を眺めながら向かった区役所にて、私達は記入済みの状態で準備していた婚姻届を提出して受理された。


私の姓は安桜から難波へと変わり、私達の肩書は恋人から夫婦へと変わった。



「あっという間だなぁ。」



声に出して呟いてしみじみと思う。あの日から、もう三年の歳月が経過しようとしている。様々な事が変わったけれど、唯一変わらないのは私が陽向を愛していて、彼も又、私の事を愛してくれていると云う事だ。


22の日付を指先で撫でて、目を細める。難波 祈(なんば いのり)になって三年が経つなんてまだ信じられない。だって未だに難波と表示される自分の名前を見る度に胸が高鳴るし、難波の判子を書類に捺印する度に頬がだらしなく緩んでしまう。



簡潔に説明すると、私達の結婚生活は順調そのものだ。