もう同じ後悔は繰り返したくない。貴方を失って私は心にそう決めた。どれだけ照れ臭くても恥ずかしくても、素直に自分の心の声を口に出して伝えようって思うようになった。

十六だったあの時よりも今の私は、幾分かは成長できているだろうか。ほんの少しくらいは、正直で可愛らしい女性になれているだろうか。



「陽向のほっぺた、髪の毛と同じ色になってるよ。」

「い、祈ちゃんがべた褒めするから。」

「だって本当の事なんだもん。」

「……胸がドキドキして爆発しそうです。」

「私もです。」



成長できてたら良いな。正直で可愛らしい女性になれていたら良いな。

ドクドクと脈を打つ心臓が耳元で動いているみたいに体内で大きく響いている。恐らく私の顔も、陽向とお揃いで桜色に染まっているのだろう。その証拠に、額も頬も熱を帯びて火照っている。



「世界一可愛い祈ちゃんに褒めて貰えて嬉しい…です。」



二回瞬いた睫毛に囲まれた瞳に射抜かれた。ふわふわの髪に埋もれていた私の手の上から彼の手が重ねられて、指と指が絡まり合う。恋人繋ぎになったそれが、キャンドルの傍に落ちた。


私の体温も、陽向の体温もそれはそれは熱かった。