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豪華なピトックマンションを見た後に、安ホテルを見るのは辛いが、最低限の物は揃った落ち着きがあるその宿の部屋は、十分居心地よかった。
ここに来るまでに、食べ物を調達し、それを持ち込んで食べると、俺はベッドにバタンキューだった。
一応ジェナには朝早くだけは勘弁してくれとは言っておいたが、案内することに使命を燃やす性格だから、朝7時には起こしにくるかもしれない。
思えば、この二日間で恐ろしく全力で観光しているような気がする。
撮った写真を見て、この日を振り返ると、自然と顔がにやけていた。
アメリカ生活の最後で、こんな事が起こるなんて思ってもみなかった。
一年間の留学中、俺はできるだけ日本人を避け、英語を話すことに専念した。
最初はホームステイをし、慣れたらルームメイトとアパートをシェアして暮らした。
友達もそれなりにできたけど、日本人の友達は少なく、ほとんど英語しか通じない他の国の連中とつるんでいた。
国という単位だと、色々と言われるけど、中国人、韓国人も、個人的に付き合えば皆いい奴だった。
英語を学びたいという目的で、俺たちは必死に英語で話し合った。
俺は普通の日本人じゃない、国際人だ! って意識してたように思う。
それは今でもそうだけど、それが『スマッグ』なのかもしれない。
スマッグ──この日、俺の態度を見て、ジェナが発した言葉。
調べたら、『自惚れ、独りよがり、気取った』という意味が出てきた。
その時の事を思い出すと、なんだかぐっと体に力が入って、恥ずかしさがこみ上げてくる。
なんであの時俺は、あの日本人女性に冷たかったんだろう。
そして、ジェナから日本の事を聞かれて、どうしてネガティブな事を言ってしまったのだろう。
アメリカでの留学は、俺に自信をつけてくれたと同時に、謙虚さが消えてしまった。
昔はこんな性格じゃなかったのに。
それはいいことなのか、悪い事なのか、日本に帰る直前になって、俺はなんだかわからなくなっていた。
これもジェナに会ったからだろうか。
ジェナはなんで俺と旅行しようと思ったのだろう。
ジェナにとって、ジャックってなんなんだろう。
現実と夢とのまどろみの中でとりとめもなく色んなことが浮かんでは、混ざり合って訳のわからないものへと変わっていく。
俺は次第に眠りについていく。
ジェナと一緒にいる今が夢そのものに感じていた。
目が覚めた時、時計を見れば8時を回っていた。
どうやらジェナは気をきかして、ゆっくりと俺を寝かしてくれたようだ。
ジェナはまだ寝てるのだろうか。
俺の方からジェナの部屋へ電話を掛けてみた。
「ハロー」
電話はすぐさま繋がり、ジェナの声が聞こえた。
「グッモーニング、起きてた?」
「さっき起きたところだけど、そっちは準備整ってるの?」
「俺も今起きたとこなんだ。これから身支度する」
「急がなくていいよ。ジャック、疲れてない?」
「よく寝たから、元気!」
「そう、よかった」
「ジェナは、大丈夫?」
「大丈夫。ちょっと目がアレだけど」
「あっ、メガネ! それどこかですぐに作れないの?」
「それは無理。検査して処方箋がいる」
「でも、なんとかしないと。なんか手立てはないの?」
「心配しないで、なんとかなるから。それにちゃんとジャックと観光できてるでしょ」
「君がそういうのなら」
「それじゃ、今からシャワー浴びるから、支度できたら連絡する」
電話はそこで切れた。
俺も、同じくシャワーを浴びるとしよう。
今日はどこへ案内されるのか、急に楽しみになってきた。
豪華なピトックマンションを見た後に、安ホテルを見るのは辛いが、最低限の物は揃った落ち着きがあるその宿の部屋は、十分居心地よかった。
ここに来るまでに、食べ物を調達し、それを持ち込んで食べると、俺はベッドにバタンキューだった。
一応ジェナには朝早くだけは勘弁してくれとは言っておいたが、案内することに使命を燃やす性格だから、朝7時には起こしにくるかもしれない。
思えば、この二日間で恐ろしく全力で観光しているような気がする。
撮った写真を見て、この日を振り返ると、自然と顔がにやけていた。
アメリカ生活の最後で、こんな事が起こるなんて思ってもみなかった。
一年間の留学中、俺はできるだけ日本人を避け、英語を話すことに専念した。
最初はホームステイをし、慣れたらルームメイトとアパートをシェアして暮らした。
友達もそれなりにできたけど、日本人の友達は少なく、ほとんど英語しか通じない他の国の連中とつるんでいた。
国という単位だと、色々と言われるけど、中国人、韓国人も、個人的に付き合えば皆いい奴だった。
英語を学びたいという目的で、俺たちは必死に英語で話し合った。
俺は普通の日本人じゃない、国際人だ! って意識してたように思う。
それは今でもそうだけど、それが『スマッグ』なのかもしれない。
スマッグ──この日、俺の態度を見て、ジェナが発した言葉。
調べたら、『自惚れ、独りよがり、気取った』という意味が出てきた。
その時の事を思い出すと、なんだかぐっと体に力が入って、恥ずかしさがこみ上げてくる。
なんであの時俺は、あの日本人女性に冷たかったんだろう。
そして、ジェナから日本の事を聞かれて、どうしてネガティブな事を言ってしまったのだろう。
アメリカでの留学は、俺に自信をつけてくれたと同時に、謙虚さが消えてしまった。
昔はこんな性格じゃなかったのに。
それはいいことなのか、悪い事なのか、日本に帰る直前になって、俺はなんだかわからなくなっていた。
これもジェナに会ったからだろうか。
ジェナはなんで俺と旅行しようと思ったのだろう。
ジェナにとって、ジャックってなんなんだろう。
現実と夢とのまどろみの中でとりとめもなく色んなことが浮かんでは、混ざり合って訳のわからないものへと変わっていく。
俺は次第に眠りについていく。
ジェナと一緒にいる今が夢そのものに感じていた。
目が覚めた時、時計を見れば8時を回っていた。
どうやらジェナは気をきかして、ゆっくりと俺を寝かしてくれたようだ。
ジェナはまだ寝てるのだろうか。
俺の方からジェナの部屋へ電話を掛けてみた。
「ハロー」
電話はすぐさま繋がり、ジェナの声が聞こえた。
「グッモーニング、起きてた?」
「さっき起きたところだけど、そっちは準備整ってるの?」
「俺も今起きたとこなんだ。これから身支度する」
「急がなくていいよ。ジャック、疲れてない?」
「よく寝たから、元気!」
「そう、よかった」
「ジェナは、大丈夫?」
「大丈夫。ちょっと目がアレだけど」
「あっ、メガネ! それどこかですぐに作れないの?」
「それは無理。検査して処方箋がいる」
「でも、なんとかしないと。なんか手立てはないの?」
「心配しないで、なんとかなるから。それにちゃんとジャックと観光できてるでしょ」
「君がそういうのなら」
「それじゃ、今からシャワー浴びるから、支度できたら連絡する」
電話はそこで切れた。
俺も、同じくシャワーを浴びるとしよう。
今日はどこへ案内されるのか、急に楽しみになってきた。