そう言ってあたしがさらに腕に力を込めたとき、背後から聞こえたのはドカドカという病院に似合わない乱暴な足音。
「こらっ、キミっ、なにしてるんだっ!」
 ちらりと振り返る。
 あ、お巡りさん。
 お金を落としたとき交番で会った、あのお巡りさんたちだっ!
 よかったっ。もうあたしひとりでは限界っ!
「大人しくしろっ!」
 え?
 わわわ、なにっ?
 いきなりドンと背中に衝撃があって、お巡りさんの手があたしの腕に回る。
 いやいやいや、あたしは止めてたんだって!
 小夜ちゃんからひっぺがされたあたし。
 そのままドサリとカーペットに転がって、思いきりお尻を打った。
 痛ぁぁぁい!
 その瞬間、ソファーの上にバッと仁王立ちした小夜ちゃんが、腰に手を当ててあたしを睨みつけた。
「ジャム子っ! 今度ばかりは親友でも許さないわっ! 警察官、その女を逮捕しなさいっ!」
 は? 親友?
 逮捕って……?
 ええっ? えええっ? ええええーーーーっ?