なんか、晃と三条くんの連携プレーがすごい。
 晃、昨日は三条くんをあんなに目の敵にしてたのにね。
 うわ、翔太、すごい顔。
「なんだぁ? 三条のやつ、いきなり身内みたいになりやがって。日向、イイ感じはよそでやってくれよな」
 なによそれ。
 イイ感じじゃないもん。
 あ、翔太、もしかして……、ヤキモチ?
 あたしと三条くんは、そんなんじゃないよ?
 でも、今日はちょっとだけ甘えちゃったけどね。
 みんなにはナイショ。
「姉ちゃん、俺たち箱詰めやるから、姉ちゃんは家のことやりなよ」
「ほんと? みんなごめんね? じゃあ、夕ご飯の支度とお洗濯してくるね」
 みんなが、うんうんと頷いてくれたのを見て、あたしはくるりと背を向けた。
 土間を背にして台所へと向かう。
「あ、翔太兄ちゃんたちはメシあんの? 聖弥さんは今日も食って帰るだろ?」
 後ろで聞こえた晃の声。
 晃、ナイスっ!
 今日お手伝いをしてもらったぶんのお給料代わりに、今夜も三条くんに夕ご飯を食べて帰ってもらおうと思ってたけど、翔太の前でちょっと言い出しにくくて。
 翔太のお父さんが、申し訳なさそうに言うのが聞こえる。
「あー、俺と翔太は晩メシあるからいいよ。三条くんは日向ちゃんのご飯、よばれていったらいい」
 ちょっと沈黙があって、すぐに三条くんの声。
「いや、俺、昨日もご馳走になったんで。今日は帰って食います」
 えー?
 すぐに、晃の偉そうな声が続く。 
「いやいやいや、あの様子なら、姉ちゃんは最初から聖弥さんに食って帰ってもらうつもりだな。たぶん給料代わりだとかなんとか言って、絶対食っていけって言うよ」