「宝満さん、お待たせしました。では、保険証をお返ししますね。こちらは入院のしおりです」
「えっと、はい。お世話になります。着替えを用意して、あとでまた来ます」
お母さんは、イベントの準備が終わって駐車場へ向かっている途中に、突然倒れたらしい。
確かに、ここ最近、ずっと辛そうにしていた。
原因がよく分からないので、検査と安静のためにしばらく入院させるって。
翔太のお父さんが家まで迎えに来てくれて、病院でもずっと一緒に居てくれた。
「日向ちゃん、大丈夫だから」
「おじさん、ありがと。お母さん、一番最初におじさんに連絡したんだね」
「うん。救急車の中で意識が戻って、俺の連絡先を救急隊員に伝えたらしい。日向ちゃんたちをビックリさせたくなかったんだろ」
実際、あたしに連絡をもらっても、どうすることもできなかったと思う。
それどころか、ものすごく慌ててしまって、逆にお母さんを心配させてしまったかもしれない。
『イチゴっ、お前が慌ててどうするっ! 弟たちが不安がるだろっ!』
三条くんに怒鳴られた。
取り乱したあたしの頭をギュッと押さえつけて、翔太のお父さんとの電話を彼が代わった。
思わず、三条くんにしがみついた。
突然、喉に込み上げた、あのときと同じ感覚。
去年、中学三年の五月。
英語の時間だった。
担任の先生が教室へやって来て、あたしを呼んだ。
『宝満さん、落ち着いて聞いてね? お父さんが病院へ運ばれたって。すぐ帰る用意して』
玄関で待っていると、翔太のお父さんが車で迎えに来てくれた。
病院へ着くと、しばらく弟たちと一緒に待合室で待つように言われた。
「えっと、はい。お世話になります。着替えを用意して、あとでまた来ます」
お母さんは、イベントの準備が終わって駐車場へ向かっている途中に、突然倒れたらしい。
確かに、ここ最近、ずっと辛そうにしていた。
原因がよく分からないので、検査と安静のためにしばらく入院させるって。
翔太のお父さんが家まで迎えに来てくれて、病院でもずっと一緒に居てくれた。
「日向ちゃん、大丈夫だから」
「おじさん、ありがと。お母さん、一番最初におじさんに連絡したんだね」
「うん。救急車の中で意識が戻って、俺の連絡先を救急隊員に伝えたらしい。日向ちゃんたちをビックリさせたくなかったんだろ」
実際、あたしに連絡をもらっても、どうすることもできなかったと思う。
それどころか、ものすごく慌ててしまって、逆にお母さんを心配させてしまったかもしれない。
『イチゴっ、お前が慌ててどうするっ! 弟たちが不安がるだろっ!』
三条くんに怒鳴られた。
取り乱したあたしの頭をギュッと押さえつけて、翔太のお父さんとの電話を彼が代わった。
思わず、三条くんにしがみついた。
突然、喉に込み上げた、あのときと同じ感覚。
去年、中学三年の五月。
英語の時間だった。
担任の先生が教室へやって来て、あたしを呼んだ。
『宝満さん、落ち着いて聞いてね? お父さんが病院へ運ばれたって。すぐ帰る用意して』
玄関で待っていると、翔太のお父さんが車で迎えに来てくれた。
病院へ着くと、しばらく弟たちと一緒に待合室で待つように言われた。