「ふんっ。宝満さんっ、だいたい、なんでこんな面倒くさいオトコの顔が、もっと面倒くさくなるほどバッグをぶん投げたのよ」
「ええっ? そっ、それは、あの……、翔太がまたあたしをからかったから……」
「からかった? なんて言って?」
「えーっと」
彼はハンカチタオルを顔に押し当てたまま、窓の外へ目をやっている。
先生、それ、言わなきゃだめ?
「あの……、あたしの家、イチゴ農家なんですけど……、その、翔太ったらほかの男の子の前で、あたしのこと、『こいつは死ぬほどイチゴを愛しているから』って、その……」
「は? 愛しているから? なに?」
先生がイライラしてる。
もうっ、翔太のバカ!
「その……、『こいつは死ぬほどイチゴを愛しているから、パンツまでイチゴ柄なんだぞ』って」
一瞬の沈黙。
彼は窓のほうを向いている。
先生はキレイな瞳をちょっと大きくしている。
うううっ、恥ずかしいっ!
「あああ、あの、あたし、イチゴ柄なんか持ってな――」
「あーっはっはっはっ! ひひっ、ひひひっ、ショウタってやつサイコー! ねぇ、今度、そのショウタを保健室に連れて来てよ」
ええっ?
これって、もしかして宝満がいじめられているのではっ? とか、そんな話にならないの?
うわぁ、先生、めっちゃ笑顔。
「あーもうっ、お腹がよじれそう。三条くん、災難だったわね。あまりのバカバカしさに呆れたわ。この程度の話だから、あんたももう許してあげなさいよ」
にじみ出た涙を指で拭きながら、先生が三条くんのほうを振り返る。
彼はまだ、窓のほうを向いていた。
「別に、俺は怒ってなんかない」
後ろ姿越しに聞こえた、彼の言葉。
え?
「ええっ? そっ、それは、あの……、翔太がまたあたしをからかったから……」
「からかった? なんて言って?」
「えーっと」
彼はハンカチタオルを顔に押し当てたまま、窓の外へ目をやっている。
先生、それ、言わなきゃだめ?
「あの……、あたしの家、イチゴ農家なんですけど……、その、翔太ったらほかの男の子の前で、あたしのこと、『こいつは死ぬほどイチゴを愛しているから』って、その……」
「は? 愛しているから? なに?」
先生がイライラしてる。
もうっ、翔太のバカ!
「その……、『こいつは死ぬほどイチゴを愛しているから、パンツまでイチゴ柄なんだぞ』って」
一瞬の沈黙。
彼は窓のほうを向いている。
先生はキレイな瞳をちょっと大きくしている。
うううっ、恥ずかしいっ!
「あああ、あの、あたし、イチゴ柄なんか持ってな――」
「あーっはっはっはっ! ひひっ、ひひひっ、ショウタってやつサイコー! ねぇ、今度、そのショウタを保健室に連れて来てよ」
ええっ?
これって、もしかして宝満がいじめられているのではっ? とか、そんな話にならないの?
うわぁ、先生、めっちゃ笑顔。
「あーもうっ、お腹がよじれそう。三条くん、災難だったわね。あまりのバカバカしさに呆れたわ。この程度の話だから、あんたももう許してあげなさいよ」
にじみ出た涙を指で拭きながら、先生が三条くんのほうを振り返る。
彼はまだ、窓のほうを向いていた。
「別に、俺は怒ってなんかない」
後ろ姿越しに聞こえた、彼の言葉。
え?