右側の窓。
 カーテンのすき間から、ちょっとだけ見えるシーリングの白い光。
 さらに、そのずっと向こうに目をやると、そこは目が覚めるような満天の星空。
 とっても素敵。
 そしてなぜか、三条くんもこの同じ空を見ているのかなぁなんて、そんな考えが一瞬よぎって、なにを考えているんだあたしはと、ちょっと自分に呆れてしまった。
「さ、いただきますしようね」
 
 コッ、コッ、コケーッ、コッコッ……。
 あら、もう朝?
 なんか最近、朝になるのがすごく早い気がする。
 農家の朝は早い。
 お母さんはもうとっくに起きて、市場へイチゴを出しに行っているはず。
 ううう、まだ眠いけど、あたしはいまから朝ご飯の準備。
 昨日の肉じゃががまだ残ってたから、申し訳ないけど朝も食べてもらおう。
 横を見ると、小学三年の(よう)(すけ)と、保育園年長さんの(こう)()のコンビが布団からはみ出して、畳の上で団子になっていた。
 ううう、カワユすぎる。
 ほんと、この姿は最高に可愛いんだけど、ふたりともなかなか起きてくれないの。
 もうひとり、中学一年生の(あきら)は、自分の部屋でスリープアローン。
 去年の春、「母や姉と一緒に寝るような男は男じゃないっ」って言って、自分の部屋でひとりで寝るようになったんだけど、台風のときはしれっとお母さんの隣に布団を敷いてたっけ。
 寝ぼけ頭でそんなことを思い出しながら、ぼーっと聞いていたニワトリの声。
 しばらくして、だんだん意識がハッキリしてくると、その様子がなんだかいつもとちょっと違うことに気がついた。
 ん? 朝鳴き……してないよね。