理解と支援?
お母さんが、少し言葉を詰まらせて、ゆっくりと息を吐く。
「ちょっと難しい話だけどね? 小夜は、他人がどう感じているかを読み取れなかったり、興味や怒りが抑えられなくて他人と協調できなかったり、そういう社会性の一部が少し欠けている子でね」
お母さんはそう言いながら、「お菓子をどうぞ」ってあたしに手のひらを差し出した。
どう返していいか分からなくて、あたしは小さく「はい」と口だけ動かす。
「すごく情緒が不安定になったときは、もうどう話してもダメでね。あとは欲しいと言ったものを買ってあげて、やりたいと言ったことをやらせてあげるしかなくて……」
あたしは下を向いたまま、ぎゅーっとスカートを掴んだ。
「私が悪いんだけど、それを小さいときから繰り返してきた結果がこれ。高校だって、とうてい受かるはずもない名門私立高校を、受けたいって言うから何校も受けさせたけど……、当然、どこにも受からなくて」
顔を上げると、お母さんがちょっと顔を傾けて口の端をゆがませていた。
「でもね? なにを考えているか理解に苦しむけど、思い描いた夢がいつもハッキリしているのだけはいいのよね。いつも、その夢に向かってまっすぐ」
「素直ですよね。そしてすっごくアツくて」
「そうね。そこだけは感心。ここのところずっと変わらないのは、聖弥くんの歌をちゃんと両耳で聴きたいってことかしらね」
両耳?
三条くんがもう一度ステージで歌うために、めいっぱいその応援をしているって話は聞いてたけど。
「あら、大親友なのに話してないのね。小夜、右耳が聞こえないの。そして、左耳もだんだん聞こえなくなっててね。だから声が大きいのよ?」
えっ?
お母さんが、少し言葉を詰まらせて、ゆっくりと息を吐く。
「ちょっと難しい話だけどね? 小夜は、他人がどう感じているかを読み取れなかったり、興味や怒りが抑えられなくて他人と協調できなかったり、そういう社会性の一部が少し欠けている子でね」
お母さんはそう言いながら、「お菓子をどうぞ」ってあたしに手のひらを差し出した。
どう返していいか分からなくて、あたしは小さく「はい」と口だけ動かす。
「すごく情緒が不安定になったときは、もうどう話してもダメでね。あとは欲しいと言ったものを買ってあげて、やりたいと言ったことをやらせてあげるしかなくて……」
あたしは下を向いたまま、ぎゅーっとスカートを掴んだ。
「私が悪いんだけど、それを小さいときから繰り返してきた結果がこれ。高校だって、とうてい受かるはずもない名門私立高校を、受けたいって言うから何校も受けさせたけど……、当然、どこにも受からなくて」
顔を上げると、お母さんがちょっと顔を傾けて口の端をゆがませていた。
「でもね? なにを考えているか理解に苦しむけど、思い描いた夢がいつもハッキリしているのだけはいいのよね。いつも、その夢に向かってまっすぐ」
「素直ですよね。そしてすっごくアツくて」
「そうね。そこだけは感心。ここのところずっと変わらないのは、聖弥くんの歌をちゃんと両耳で聴きたいってことかしらね」
両耳?
三条くんがもう一度ステージで歌うために、めいっぱいその応援をしているって話は聞いてたけど。
「あら、大親友なのに話してないのね。小夜、右耳が聞こえないの。そして、左耳もだんだん聞こえなくなっててね。だから声が大きいのよ?」
えっ?