そうやってごにょごにょと小夜ちゃんと話していると、ソファーに戻って来たお母さんが、脚がついた大きなガラス皿をテーブルの真ん中に置いた。
 おおっ? 
 見たこともないお菓子っ。
 とってもキレイなクリスタルの脚付きお皿に、まったく読めない外国語が書かれた個別包装のお菓子がこんもりと盛られている。
 そのうちのひとつを、小夜ちゃんがバッと乱暴に取り上げた。
 うわっ、びっくりした。
 バリリと包装を破って、チョコレート風のお菓子を口に押し込む小夜ちゃん。
「ママっ、アタシの計画を邪魔してどういうつもりなのっ?」
「計画もなにも、ママはそんなこと許した覚えはありませんっ。だいたい、ちょっと非常識すぎるわ」
「非常識ですってっ?」
 どうも、小夜ちゃんがお母さんの許可をもらわないでなにかしようと計画して、それを怒られたって感じみたい。
「小夜ちゃん、いったい、なにしようとしたの?」
「ふんっ」
 あたしと反対のほうへ顔を向けた小夜ちゃん。それを見て、正面に座っているお母さんが大きなため息をついた。 
「日向さん、見て? 庭のあそこ」
 お母さんが少し伸び上がって、さっきよりちょっとキラキラがおさまった芝の向こうを指さす。
 見るとそこは、広いお庭の端っこ。
 芝がめちゃめちゃに掘り返されて、土に埋め込まれていたと思われる真新しい角材が周りにたくさん転がっていた。
「あそこに、小屋を建てようとしたのよ?」
「小屋……ですか?」
 小夜ちゃんの肩がグッといかる。
 お母さんがもう一度ため息をついて、小夜ちゃんのほうへアゴを向けた。
「で、小夜? なにを飼うって言ったっけ?」
「……リ」
「聞こえないわね」