メッセージには、【小夜のお母さんは俺の母親と違ってめっちゃ優しいから心配するな】って、なんと返事をしていいか困るコメントも添えられていたけど。
 お土産は、摘んだイチゴだと持って行く途中で傷んだらいけないから、いつもスーパーに置いてもらっている自慢の瓶詰ジャムにした。
 カメラが付いたインターフォンの前で大きく息を吸って、それからそーっとボタンに手を伸ばした、その瞬間。
「うるさぁぁぁーーーいっ!」
 突然、レッドロビンの向こうで聞こえたアニメ声の絶叫。
 ハッとして、門柱越しに中を覗く。
 キレイなお庭。
 よく手入れされた芝がキラキラしていて、周りを花壇が取り囲んでいる。
 続けてなにか大きなものが、その芝の上にドカッと転がった。
 え? なに?
 あれは……、ソファー?
 庭に面した掃き出し窓から転げ出たのは、とっても立派な皮張りの一人掛けソファー。
 さらに、聞こえたアニメ声。
「アタシは飼うっていったら絶対飼うのぉぉぉーーーっ!」
 これは……、小夜ちゃんの声だっ!
 え? いったいなに?
 思わず門の扉に手を掛けて、インターフォンを鳴らすことも忘れて敷地へ駆け込んだ。
「小夜っ! もうやめてっ!」
 いまにも泣きだしそうな女性の声。
 これはっ、病院のときみたいに小夜ちゃんが暴れてるんだ!
「小夜ちゃんっ!」
 声を張り上げて庭へ駆け入ると、水を撒いたあとらしく芝がつるつるしていて、思うように足が進まない。
 うわわっ!
 倒れそうになりながら、開いている掃き出し窓のサッシ枠を掴んだ。
 すると、そこにはっ……。
「あっ! ひなっ! 来てくれたのねっ!」
 ん? 
 ひな?