『あー、セイヤ兄ちゃん、お友だちつれてきてくれたのー? うわぁ、かみがながーい』
『ねぇ、えほんよめる?』
 頬を引きつらせてのけ反る小夜ちゃんに、わらわらと寄っていく弟たち。
 なに?
 小夜ちゃん、子供が嫌いなの?
『小夜さんっていうんだ。俺、晃。こいつは陽介、こっちは光輝』
『へ? あ、そっ、そう』
『小夜さんも手伝いに来てくれたんだろ? 姉ちゃん、俺、腹減っちまった。メシ先にできる? 小夜さんも一緒に食べなよ。箱詰めはそのあとだから』
『……はい?』
 動揺する小夜ちゃんは、晃のペースに乗せられてあれよあれよと我が家の中へ。
 晃のやつ、三条くんを連れて来たときにはすごく反抗的だったくせに、女の子を連れて来たらまったく反応が違うんだからっ。
 土間に入って、目をくるくるさせた小夜ちゃん。
 居間に上がってもらって、あたしがバタバタと夕ご飯の支度をする間は、三条くんに小夜ちゃんのお相手をお願いした。
 すごく嫌そうな顔にちょっとウケたけど。
 すると三条くんは、小夜ちゃんから三つ離れた座布団に腰を下ろして、すぐに弟たちを呼んだ。
『晃ぁ、陽介ぇ、宿題持ってこーい』
『はぁい』
 台所からちょっとだけ様子を窺ってみると、小夜ちゃんは完全に放心状態。
 どうも、三条くんが我が家に馴染んでいるのが理解できない様子。
 しばらくして、晃と陽介が三条くんの両側に座って、テーブルの上に宿題を広げた。
 小夜ちゃんがそれをポカンと口を開けて見ていると、奥の仏間から可愛い声がした。
『こうきもいれてぇ』
 両手いっぱいに絵本を抱えた光輝。