2日間、そのお店で働いてみた。
本番をするよりは短時間だった。
普通の男の人もいれば、変わった男の人もいる。それでもどちらかと言うとシンプルな行為だと思った。

今までは自分自身で男性を探し全てのお金を自分のものにしていて。だから、こうして働くと店側に半分ほどお金を回収されるので給料は少ない。

分かっていたこと。

けど、それで身の安全を買っているのなら、それでもいいかと思った。


風俗で働き出して4日後、私は居酒屋のバイトをやめた。






ユタカに会いに行けば、ユタカに「顔色いいね」と、優しく言われた。
私自身も分かっていた。
最近、全く家に帰っていないから、親に会うことがない私の顔色がいいのだと。


その日は少し高いお酒を注文した。値段は13万。今日もユタカは喜んでくれた。その日はずっと私の手を握ってくれていた。

ユタカは私にどんな仕事をしてるの?どうやってお金を稼いでるの?って聞いてこない。
それでも多分、私が風俗で働いていることを知っているんだろうな…







────



「コウセイさんって、ケイシって言うんだね。知らなかったよ」

今日もぷかぷかと煙草を吸っていた。前に今のお店を紹介して貰ってから、ほぼ1ヶ月たっていた。

だからこうして世間話をするのが凄く久しぶりに感じた。店の中では、内勤でちゃんと働いている姿しか見ないから。


「ああ…」

「紹介してくれてありがとう。あそこで働いている子もね?ここはお金のバックも多いし、いいオナクラって言ってたよ」

「指名貰ってるらしいな」

「知ってるの?」

「…ああ、あそこはうちのシマだから。話は聞く」

「シマ?」

「縄張りみたいなもん」

「よく分かんないけど、コウセイさんって顔広いんだね?」

「……」

「ありがとう」


にこ、っと、笑えば、無表情のコウセイが「…なあ」と、煙草を口から離す。


「嫌じゃないのか、男の相手」


その質問に、どう答えればいいか分かんない。


「嫌だけど、…稼がなくちゃユタカに会えないもん。ユタカの笑ってる顔が見たい…。本当に大好きなの…」

「…」

「ユタカが私を救ってくれた…。落ち込んでる私を励ましてくれたのがユタカが初めてで…」

「…」

「ユタカに会うためなら、私の体なんかどうだって…。嫌だけどね」


ふふ、と、苦笑い。

コウセイは私を見つめてくると、「…だったら励ますのが俺なら?」と、言ってきて。


え?と、首を傾げる私は、コウセイを見つめ返した。今日もコウセイの肌は白い…。


「俺ならこうして話をするの、タダだから」


タダだから?


「お前、働かなくていいだろ?」


そう言ってくるコウセイの話が、いまいちよく分からなくて。

働かなくていい?
励ます相手が、コウセイ?
話をするのがタダ…


「よく分かんないよ…」


私はそう言って顔を下に向けた。


「………分かんねえならいい…」


深く呟いたコウセイ。
私はもう一度コウセイを見ようと、顔を上げた。もうコウセイは私の方を見ていなかった。