ラブホテルというのは、とてもいいものだと思った。お風呂ある、ベットもある。朝食は無料。
男性と寝れば、朝まで泊まれるオプションつきなんだと知った。
私はいつもリュックサックを背負っていた。その中に入っているのは服とか化粧品とかで。
ほぼ家出状態の私は──…そのリュックの中が私の部屋だった。
その日の夜、私はシャンパンというものを注文した。見せてもらったメニュー表の中で1番10万に近いお酒を選んだ。
お店の中で何度か見かけたことがあるコールというものが始まった。
コールというものは何人かのホストが私とユタカがいる席に集まって、お祝い…みたいなのをしてくれる事で。
私は初めてのコールよりもユタカに夢中だった。
ユタカはお酒を注文する前、何度も「本当に大丈夫なの?」と心配してくれた。
そんなユタカの表情をずっと見てしまう。
「俺の可愛い姫さま。いつもありがとう」
マイクを持ってそう言ったユタカが私の肩を抱き寄せる。
その距離はいつもより近くに感じた。
ユタカが笑ってる…。
私のそばに居てくれる。
好き…。
これでもう〝ぽっきー〟なんて言われない。
幸福に包まれていた。
それでもこの世界にとって10万は安いものだと知ったのは、そう遠くはなかった。
私はメニュー表を見て知っていたはずなのに。もっともっと高いお酒は、いくらでもあることを…。
男性と寝れば、朝まで泊まれるオプションつきなんだと知った。
私はいつもリュックサックを背負っていた。その中に入っているのは服とか化粧品とかで。
ほぼ家出状態の私は──…そのリュックの中が私の部屋だった。
その日の夜、私はシャンパンというものを注文した。見せてもらったメニュー表の中で1番10万に近いお酒を選んだ。
お店の中で何度か見かけたことがあるコールというものが始まった。
コールというものは何人かのホストが私とユタカがいる席に集まって、お祝い…みたいなのをしてくれる事で。
私は初めてのコールよりもユタカに夢中だった。
ユタカはお酒を注文する前、何度も「本当に大丈夫なの?」と心配してくれた。
そんなユタカの表情をずっと見てしまう。
「俺の可愛い姫さま。いつもありがとう」
マイクを持ってそう言ったユタカが私の肩を抱き寄せる。
その距離はいつもより近くに感じた。
ユタカが笑ってる…。
私のそばに居てくれる。
好き…。
これでもう〝ぽっきー〟なんて言われない。
幸福に包まれていた。
それでもこの世界にとって10万は安いものだと知ったのは、そう遠くはなかった。
私はメニュー表を見て知っていたはずなのに。もっともっと高いお酒は、いくらでもあることを…。