その後時計の針が三時を指す頃、

和也たちの待つ渡辺家に和義が帰って来た。

「ただいま」

 その声に兄の祥が真っ先に反応し玄関まで飛んで来ると、

その後からおとなしい性格をしている弟の陸がやって来た。

「あっおじいちゃん帰って来た! お帰りなさいおじいちゃん」

 祥が元気よく挨拶をすると、二人の孫の姿に驚きながらもやさしい声で挨拶を返す和義。

「なんだ来てたのか、ただいま二人とも」

「うん、パパがお仕事おやすみになったから行こうって」

 祥が言うとそこへ奥から和也がやって来た。

「ただいまじゃないよ親父、また車に乗って出掛けたそうじゃないか、あれほど乗らないようにって言ってるのにどうして乗るんだよ、車も処分してくれたんじゃなかったの?」

 二人会話をしながら居間へと向い、先程の大きなテーブルを前に腰を下ろす。

 この時和義は息子である和也の話をあまり真剣に聞いてはいなかった。

「そう怒るなよ、昔から運転には自信あるんだ、心配しなくても事故なんか起こさないよ」

「その油断が一番危ないんだよ」

「分かったわかった、それで今日は何しに来たんだ、仕事はどうした、まだ今日は金曜日だろ? 仕事休みになったってまさかクビじゃないだろうな」