その頃保育園に通っている弟の陸も同様にいじめの被害にあっていた。

「お前のじいちゃん悪いことしておまわりさんにつかまったんだってな?」

「なんだよ悪いことって、僕そんなの知らないよ」

「ママたちが話してるの聴いたんだ、おまえのじいちゃんが悪いことしておまわりさんにつかまったって」

「そんなの嘘だよ、じいちゃんがそんなことするわけない」

 その後陸が帰宅すると真っ先に由美に泣きながら訪ねる。

「ママ、おじいちゃんは悪いことしておまわりさんにつかまったの?」

 その言葉に思わずドキッとしてしまう由美。

「どうしてそんなこと言うの? そんなことない、おじいちゃんは何も悪いことなんかしてないの」

そこへ祥も帰ってきたが、

ひどく落ち込み今にも泣きだしそうな顔をしていた。

「ただいま」

「おかえりなさい祥、どうしたの元気ないじゃない」

「ママ、おじいちゃん人殺しでおまわりさんにつかまったってほんと?」

「誰がそんなこと言ったの?」

「海斗君、海斗君のママたちが言ってたって」

「そんなの嘘だから安心しなさい、陸にも言ったけどそんなことないわ」

「だったらどうしておじいちゃんうちにいないの」

「だからこの前も言ったじゃない、おじいちゃんは旅行に行ったの、しばらくは帰ってこないのよ」

「引っ越したばかりなのにもう旅行に行ったの? それにおばあちゃんがいるじゃない、おばあちゃんを残して一人だけで行くなんておかしいじゃない」

「おじいちゃんも一人になりたかったのよ、良いからこの話はこれでおしまい。二人ともおやつ食べなさい、祥はおやつ食べたら宿題があるんでしょ」

「分かったよ」

この日はこれで終わったが、

その後も二人は学校や保育園に行くと人殺しの孫ということでいじめられていた。