「本当に申し訳ありません、もちろん謝って済むことではないのは重々承知しています、でも今はこうすることしかできません」

「謝って済むことか、母はもう帰ってこないんだぞ! あんたの所のじいさんは免許証返納したんじゃなかったのか、それなのにどうして運転なんかしたんだ」

「お怒りはごもっともです、今はとにかく謝ることしかできません。本当に申し訳ありませんでした」

「もういいから帰ってくれ! あんたらの顔も見たくない」

「分かりました。これにて失礼します」

 こうして和也たちは肩を落としながら高野家を後にした。

 渡辺家がこの土地に越してきてからというもの、

お向かいさんということから渡辺家と高野家はともに良好な関係を続けてきたが、

今回の一件がきっかけでその関係性も崩れてしまった。

 後日高野家の葬儀の際に和也たちも出向いたが、

それに気付いた恵一が当然のように追い返す。

「何しに来たんですか」

「お焼香させていただきに伺いました」

「あなた方はどこまで私たちの感情を逆なですれば気が済むんですか、そんなの良いから帰ってくれ」