子供たちが居間を後にしたのを確認すると、

一体どういうことなのかと訊ねる幸代。

「それでどういう事? 何なの話って」

 何だろうと首を傾げる幸代に真剣な眼差しで続ける和也。

「かあさん、うち埼玉に家を新築しているのは知ってるだろ?」

「知ってるわよ、それが何なの?」

「もうすぐ完成するんだけど、そこに母さんたちの部屋も作ったんだ、向こうで一緒に住まないか?」

「何言ってるの突然、そんな事になったら由美さんだって困るんじゃない? 由美さんだって気を使うだろうし」

 そう言うと次に由美に向け問いかける幸代。

「そうよね由美さん、突然(しゅうと)(しゅうとめ)が転がり込んできても困るわよね」

 幸代の問いかけに応える由美だが、その表情は幸代の想像とは裏腹に笑顔が浮かんでいた。

「そんな事ないですよお義母さん、そもそもこの考えを最初に言ったのはこのあたしなんです」

 その声に驚いてしまい、

一体何故かと思いを巡らせていた幸代はその思いが自然と声に出ていた。

「そうなの? でもどうして」

「それは俺の方から説明するよ」

「そう? お願いどういう事なのか説明して」

「これは俺も前々から気になってはいた事なんだけど、親父の事が関係してるんだ」

「さっきもそんなこと言っていたわね、どういう事なの一体」

「親父は母さんがどんなに止めても車に乗ってしまうだろ?」

「そうね、今も車で病院に行ってしまっているわ」