「申し訳ありません、息子が車を運転しない代わりにとセニアカーを買ってくれました、でもバッテリーの充電をしておくのを忘れてしまって。だから少しくらいなら大丈夫だと思ってつい魔が差してしまいました」

　ここで口をはさんだのは嫁の由美であった。

「何よお義父さんそんなことで車を運転したの？　言ってくれれば送り向かいしたのに、この前も言ったじゃないですか、何かあればいつでも送り向かいするって」

「そうだったな、すまないな車もこんなにしてしまって、由美さんの手を煩わせるのが申し訳ないと思ってしまったんだ」

「そんなのどうでもいいんですよ、車だって直せばいいんです、直らなかったら買い替えることもできます。でも被害にあった方たちはそうはいきません、これから誠心誠意謝罪しないと」

　そんな二人のもとへ警察官が声をかける。

「とにかく無免許運転をして事故を起こしたんだ、署へ向かおうか」

「分かりました、ご迷惑をおかけします」

　和義は深々と頭を下げそういうと、

パトカーに乗り込み警察署へ向け走り出した。