それでも落ち着こうと必死に努力する二人。

「どうしようパパ」

『行先は分かってるのか？』

「多分クリニックだと思う」

『そうか、じゃあクリニックに電話をして確認するんだ、いるのが確認取れたらすぐに迎えに行ってくれ、どのみち診察が終わるまでには時間がかかるだろうから終わるまで待って帰りはママが運転してきてくれ！』

「分かった、とにかく電話してみる」

　その後由美はすぐにクリニックへと電話をかけた。

『はい、西山クリニックですが』

　この時必死に落ち着きを取り戻そうとする由美であったが、

その声色からはいまだ焦りの色は消えていなかった。

「もしもし渡辺ですが、うちのおじいちゃんはそちらにいますでしょうか？」

『お名前よろしいでしょうか？』

「渡辺和義です」

『あぁ渡辺のおじいちゃんですね、まだ来てないようですがどうかされました？』

「免許証返納してしまったのに一人で運転していってしまったようなんです」

『どうしてそんなこと』

　電話の向こうで驚きの声が上がったその時だった、ドーンと大きな音が電話口の向こうから鳴り響いた。