和義が車で出かけて行ってしまって暫くすると何やら玄関から声が聞こえた。

「ただいま、母さん居る?」

その声に幸代が玄関までやって来ると、

そこには東京に住んでいるはずの和也が突然帰ってきており家族とともに佇んでいた。

「和也じゃない、どうしたの突然」

「ちょっとね、子供たち今夏休みだし俺も有給たまっていたんでそれでね?」

「それなら連絡くらいくれればいいのに、とにかく上がって」

「そうだね、悪かったよ」

 そう返事をしつつ和也は玄関を上がると、家族たちもそれに続く。

「おじゃまします」

 妻である由美の声と、その後に小さくかわいい声が二つ続いた。

 その後居間へと通され大きく重厚なテーブルの前に座ると、ここで和也は実家に帰った時から気になっていた事を訊ねる。

「ところで親父は?」

「お父さんは病院に行ってるわ」

「もしかして車で?」

「そうなの、もう車には乗らないでって何度も言ってるんだけど聞いてくれなくて」

「やっぱりそうなんだ、車がなかったからそうじゃないかと思ったんだ、実は今回来たのもその事なんだよ」

 和也がそう切り出したのを合図に、由美は二人の子供たちに席を外すよう言い渡す。

「ママたち大事なお話があるの、あなた達あっちの部屋でゲームでもやっていて」

「はぁい、行こう(りく)

 弟の陸を連れ隣室へと向かう(しょう)