それでも納得しない和義にさらに説得するようにたたみかける。

「この俺にこんなのに乗れというのか? 俺を年寄り扱いするな!」

「別に年寄り扱いしているわけじゃないよ、親父にはいつまでも長生きしてほしいんだ、そのためには少しでも事故にあう可能性を減らしたいんだよ!」

 そんな和也の言葉に応えた和義の言葉には怒りがにじんでいた。

「お前は俺が年寄りだから事故を起こすといいたいのか!」

「言いたくないけどそのリスクは高いだろ、最近高齢者の運転ミスによる事故が多いじゃないか! 考えてみてくれ、もし親父がそういう事故を起こしてしまって誰か他人を巻き込んでしまったらどうする? うちだけじゃなくその人やその家族の人生も狂わせることになるんだよ、だから親父にはもう車に乗らないように免許証を返納してほしいんだ」

「何言ってるんだ、この俺に限って事故なんて起こすわけないだろ! これでも運転には自信があるんだ、何年運転していると思ってるんだ」

「それだよ、その油断が事故を起こすんだ、自分では慣れていると思っても歳を取るととっさの時に反応が鈍くなったりするんだよ、それに今までは田舎道ばかりだったけど、こんな街中の運転はしたことなかったろ」

「そんなことを言うならこっちに越してこない方がよかったじゃないか」

「免許証の返納はするってわけだったんだからそんなの関係ないよ」

 和也のこの言葉に唇をかみしめる和義。すると和也はさらに続ける。