翌日、一晩考えた和義はその答えを和也に告げる。

「和也ちょっといいか?」

「何親父」

「昨日の話の件なんだけどな、一晩考えてみたんだがあれやっぱり断ろうと思って」

「どうして、ここにいたらいつ災害に巻き込まれるか分からないんだよ!」

 この時和也は危険な土地だというのにこの家を離れたくないという父の考えが疑問でならなかった。

それでもそこまでして生まれ育った土地を離れたくないとの思いも分からなくもないと思える和也であった。

「それを言うなら和也たちと一緒に住むようになっても同じじゃないのか、洪水とかの危険はないのか?」

 父親の心配の声に和也は笑顔を浮かべ応える。

「それは心配いらないと思うよ、引っ越し先の住宅地はほどよい高台の上にあるんだ。だからとりあえず洪水の心配はないかな? 確かに全くリスクがないかといえばそんなことないと思うが、どちらかといえば親父たちに引っ越してもらって俺たちと一緒に住んでもらったほうがリスクは少ないと思うんだ。治安だって悪くはないしね」

「そうなのか? それなら安心なんだが」

 それでもまだ何か言いたげな表情をしている和義。

そんな和義に気づいた和也が何かあるのだろうかとそっと尋ねる。